ショーン・ペン主演『フラッグ・デイ 父を想う日』
アカデミー賞に2度輝くショーン・ペンが、はじめて監督と主演を同時にこなした作品が公開される。構想に15年を費やし完成させたのは、アメリカ最大級の贋札事件の犯人とその娘の絆の物語。実の娘との共演で、ペンが衝撃の実話を郷愁誘う映像で描いていく。
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それでも娘の愛は消えない……
1992年6月、アメリカ最大級の贋札事件の犯人であるジョン・ヴォーゲルが、裁判を前にして逃亡した。2200万ドルもの偽札を印刷したという罪を知った娘のジェニファーは、それでも「私は父が大好き」とつぶやく。ジェニファーが子供の頃、父は家族の前に現れては、また消えるという生活を繰り返していた。「平凡な日々を見違えるほど驚きの瞬間に変えた」父との毎日は、彼女にとって宝物だった。高校生になり、家出をして父のもとへ身を寄せたとき、父は普通のセールスの仕事を見つけ真面目に働きはじめる。父の誕生日でもあるフラッグ・デイに、父は娘から大切なプレゼントを受け取り、固い絆を確かめ合った。しかし、「パパは変わりつつある」とジェニファーが弟へ手紙を書いたその日、父はとんでもない行動に走る。
『フラッグ・デイ 父を想う日』
監督:ショーン・ペン
出演:ディラン・ペン、ショーン・ペン、ジョシュ・ブローリン
12月23日(金)より全国公開
配給:ショウゲート
©2021 VOCO Products, LLC
なにをやってもうまくいかず、しまいには借金を抱えて犯罪にまで手を染める父親ジョン。そのせいで家族の前に現れては、また姿を消す。そんな父だが、娘は楽しい思い出を胸に、愛情を持ち続けていた。
【memory 01】農場の家を修復しながら過ごした日々!
父が農場を購入し、荒れはてた家を家族みんなで修復した楽しい思い出。父はお気に入りのショパンのノクターンを聴くなど、和やかな日々が続いた。しかし、農場の資材の代金は返済できず……。
【memory 02】湖畔の家でお祭り騒ぎのような日々!
アルコールに溺れた母のもとを離れ、ジェニファーと弟は、父と新しい恋人が住む湖のほとりの家でお祭リ騒ぎのような毎日を過ごす。でも、父は借金から逃れられず、立ち直った母のもとへ子供たちを送り返すことになる。
【memory 03】母と別れ、父と2人で暮らした日々!
高校生になったジェニファーは母親の再婚相手とうまくいかず、家出する。父を頼るが、父はまたしても借金を抱えていた。それでも、自分を頼ってくれた娘のために父は真面目に職を探しはじめる。
6月14日はアメリカの国旗制定日(フラッグ・デイ)。この日にジョン・ヴォーゲルは生まれた。彼は「自分も祝福されている」と感じる楽天家だが、失敗ばかり。母から「フラッグ・デイに生まれた男はクソだ」となじられていた。
1970年~’90年代、憧れのアメリカ
物語の回顧シーンは1975年の夏からはじまる。娘ジェニファーが育った’70、’80、’90年代と3つの時代が再現され、懐かしい風景を映し出す。ファッションをはじめ憧れだったアメリカの姿が映し出される。〈ハードロックカフェ〉がオープンしたなんていう映像を目にすると、’ 80年代の記憶も甦ってきそう。さらに、過ぎ去りし日々をリアルに再現するために16㎜フィルムを使用。デジタルにはない深みと懐かしさを演出している。
ハリウッドで今なにしてる!?
サンタモニカ出身、俳優の両親のもとマリブで育った生粋のハリウッドセレブであるショーン・ペン。政治活動家としても知られる彼は、ドキュメンタリーの撮影のためウクライナへ渡っていたことが大きな話題となっていたが、同時に俳優業もかなり精力的にこなしているようだ。
『フラッグ・デイ 父を想う日』のほか、’70年代のカリフォルニアが舞台の青春ラブコメディ『リコリス・ピザ』に出演。最新作としては、プロデューサー兼主演として携わった医療系スリラー映画『Black Flies(原題)』のリリースを控えている。地上波や配信ドラマの出演にも積極的で、ジュリア・ロバーツと共演した政治スリラーのTVドラマ『ガスリット 陰謀と真実』も注目された。
現在は、オーストラリアの動画配信サービスStanオリジナルシリーズ『C・A・U・G・H・T』の撮影が現地で進行中。オーストラリアの4人の軍人が極秘ミッションで戦地へ送られるも人質にされ、その様子がネットでバズってセレブになってしまい……という内容の、戦争を風刺したブラックコメディ。ウクライナで自身が経験したことを投影した内容も含まれるようだと囁かれている。
プライベートでは、32歳年下のレイラ・ジョージと結婚1年で破局。それ以来、目立った話題もない。とにかく活動家として俳優として多忙な日々を送っているようなので、今後の仕事ぶりに注目するしかない!
2022年2月、ウクライナ侵攻についてのドキュメンタリー映画制作のため、首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と対談した。戦火の中で安否も心配されたが、6月に大統領と面会。ほかにもポーランドのウクライナ難民を救う活動など、勇気ある行動を続けている
雑誌『Safari』1月号 P228~229掲載
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text : Yuka Marmo Okamura photo by AFLO