【第35回】毎日、午後4時からがとっておきの万年筆タイム! 万年筆で自分自身の 気持ちをリセット!
今年8月に〈ストリングスホテル東京インターコンチネンタル〉の総支配人に就任したネイザン・クック。一流のホテリエとして、ネイザンにとって万年筆は欠かせないアイテムのひとつだ。幼少期から見よう見まねで万年筆を手に取り、日本留学時代には習字も習っていたというネイザンに、万年筆との関わ…
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- ビジネスエリートの愛する万年筆!
今年8月に〈ストリングスホテル東京インターコンチネンタル〉の総支配人に就任したネイザン・クック。一流のホテリエとして、ネイザンにとって万年筆は欠かせないアイテムのひとつだ。幼少期から見よう見まねで万年筆を手に取り、日本留学時代には習字も習っていたというネイザンに、万年筆との関わりやその魅力を語ってもらった。
PROFILE
ニュージーランド出身。〈ヒルトン オークランド〉やニュージーランド観光局でセールス&マーケティングに従事した後、ニュージーランド、イギリスのラグジュアリーホテルでマネジメント職を歴任。2012年に来日し〈ヒルトン小田原リゾート&スパ〉〈ヒルトン東京〉を経て、’17年8月より〈ストリングスホテル東京インターコンチネンタル〉の総支配人に就任。高校時代に交換留学生として日本への留学経験がある。
最愛の人への手紙
リオンとチエコへ
最初の赤ちゃんの誕生をお祝いします!
幸せを祈っています。
̶̶ネイザン
文字の流れや擦れ具合が味わい深い!
「実は高校時代に、交換留学生として1年間日本に留学していたんです」と流暢な日本語で話しはじめたのは〈ストリングスホテル東京インターコンチネンタル〉の総支配人、ネイザン・クック。留学中は漢字を美しく書きたいという一心で、習字教室にも通っていたのだとか。
「習字と万年筆には少し似た部分がありますよね。筆跡の流れや文字の擦れ具合、インク(墨)の濃淡など、どちらも手書きならではの味わいがあると思います。個人的には、あまり崩すことなく、クラシカルな正統派の文字が好みです」
ニュージーランドで生まれ育ったネイザンは、万年筆愛好家だった父の姿を見て、幼い頃から万年筆に慣れ親しんできた。といっても万年筆マニアではなく、あくまでアイテムのひとつとして使用してきた。そしてホテルマンとなってからは、万年筆はより欠かせないものに。
「大切なお客様に手書きのカードやメッセージを贈るのは、総支配人の大切な役目です。ほかの筆記具でも悪くないのですが、やはり万年筆で書いた文字の質感がホテルにはふさわしいと思います。特別な仕事がなければ、毎日午後4時からが万年筆タイム。万年筆を握ると自然と気持ちが引き締まるし、いい気分転換にもなります。忙しい業務の中で、貴重なリセット&リラックスタイムです」
万年筆を選ぶ基準にはそれほどこだわらないというものの、ネイザンの好みはあくまでクラシックスタイル。これに軽さやタフさ、書きやすさといった機能の一貫性を求める。さらにはちょっとした思い出があると、万年筆にさらに愛着が湧いて手放せなくなるという。
「毎日万年筆を使っていると、それぞれに思い出ができます。時間をかけて書いたぶんだけ、相手にも思い出が刻まれるのではないでしょうか。万年筆を使う時間は仕事や生活の中でわずかなものですが、そうした思い出というか手触りのような感覚が、デジタルにはない魅力です。単純に使っていて心地いいんです!」
愛用の万年筆
驚くほどタフで使いやすい!
昔の上司からプレゼントされたというコチラは、ネイザンが最も長く愛用している1本。少々乱暴に扱っても、故障やインク漏れもなく、書き味もすこぶる快調とのこと。万年筆の王道を行くようなクラシカルな佇まいも気に入っているそう。ペン先は極太字のBBだ。
/カルティエ
お気に入りの1本!
1950 ~ 60年代のカーレースの世界をモチーフにしたシリーズ。ブラックボディにパラジウムでフィニッシュが施されている。ネイザンはキャップトップに配されたブルーサファイアが気に入って自ら購入。契約書へのサインなど、特別なときに使用するとのこと。
服はシックに、
小物で遊ぶのがネイザン流!
ファッションは基本的にブラックスーツ×白シャツ×ブラックタイのモノトーン。そのぶん小物で大人の遊び心を取り入れる。この日のタイはブラック×グレーのバイカラー。カフスはあざやかなマルチカラー。ともに〈ポール・スミス〉。時計は〈ロンジン〉のマスターコレクション。
万年筆のバックアップ用として〈モンブラン〉のボールペンも併用。無駄がなく、クラシカルなデザインの〈モンブラン〉はネイザン好み。ほかに万年筆を2本所有する。
COMPANY DATA
THE STRINGS BY INTERCONTINENTAL TOKYO[ストリングスホテル東京インターコンチネンタル]
駅直結の好アクセスと最上級のくつろぎを!
26階ロビーには最上階まで広がる吹き抜けと回廊があり、都会の喧騒からかけ離れた静寂の空間が出迎えてくれる。客室は、東京の景観が楽しめる大きな窓に上質な木材をふんだんに取り入れた優しい造り。日常の緊張感から解放される安らぎのひとときを堪能できる!
雑誌『Safari』1月号 P276・277掲載