【第31回】最も大切なのは手にしたときのフィーリング! ギターを弾くように万年筆で書く!
若い頃から音楽を愛し、ミュージシャンとして活動した時期もあるフェンダーミュージック代表取締役社長・アジア統括のエドワード・コール。ギターやアンプに負けず劣らず、実は万年筆にも造詣が深いという。ボールペンも含めると、なんと100本近い筆記具を所有するエドワードに、万年筆の魅力と、…
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- ビジネスエリートの愛する万年筆!
若い頃から音楽を愛し、ミュージシャンとして活動した時期もあるフェンダーミュージック代表取締役社長・アジア統括のエドワード・コール。ギターやアンプに負けず劣らず、実は万年筆にも造詣が深いという。ボールペンも含めると、なんと100本近い筆記具を所有するエドワードに、万年筆の魅力と、長年万年筆を使い続ける理由を聞いた!
PROFILE
アメリカ・シカゴ出身。若い頃はミュージシャンとして精力的に活動する。その後、ライフスタイルブランドやラグジュアリーブランドにおいてビジネスに従事。ラルフ・ローレン ジャパン社長を務めたほか、サンフランシスコ、ロンドン、香港、東京など、約50の国や地域でビジネスに携わる。2014年にフェンダーミュージカルインストゥルメンツコーポレーションに入社し、2015年4月より現職。日本在住歴は14年。
大切な人への手紙
親愛なるアランへ
今回の〈フェンダー〉と〈エス・テー・デュポン〉のエクスクルーシブなコラボレーションモデルは素晴らしいものとなりました。あなたの友情とパートナーシップに感謝します。
̶エドワード・コール
その第一印象はビジネスセレブというよりもアーティスト。圧倒的な存在感とともに現れた〈フェンダーミュージック〉代表取締役社長のエドワード・コールは、かつてミュージシャンとして活躍していた時期もあるという。そんなエドワードも実は万年筆好き。ボールペンも含めると、100本近いペンを所有している。「きっかけは父でした。子供の頃に父が万年筆を使っている姿を見て、幼心にも漠然とした憧れを抱きました。父から万年筆を譲り受けてからは、常に万年筆でなにかを書く毎日を送っています」
エドワードは1日に少なくとも1時間は万年筆で手書きする時間を設けている。アイデアを書き記したり、書きながら考えをまとめたり、以前書いたものを見直したりする。そうした秘密のパーソナルノートは100冊以上に及び、日記に関しては40年以上続けているんだそう。
「自らの手を動かし、きちんと時間をかけて書くことが大切なんです。コピペなんてもってのほかです(笑)。万年筆で手書きすることはリアルな体験であり、温かみのある行為です。そこにはある種のスピリッツが宿るはずです」
仕事柄、出張の多いエドワードは、旅先で万年筆を購入することも多いという。では、エドワードが万年筆を選ぶ基準とは一体どんなものなのだろうか?
「まずは万年筆自体の歴史と品質です。どんなブランド哲学があり、どんな職人技が反映されているかが気になります。次に色やデザインなどの見た目です。でも最も重要なのは持ったときのフィーリング。これはギターも同じです」
エドワードによれば、万年筆とギターは非常に似ているという。
「万年筆もギターも自らの手で表現を行うツール。優れた万年筆や優れたギターというのは、使ったときにカラダの一部となり、自分自身をそのまま表現してくれるものだと思います。私にとって万年筆とギターは、自分が自分であることを思い出させてくれる貴重な存在なのです」
ダークブルー/エス・テー・デュポン
職人技の1本!
腕利きの漆職人や金属加工職人を抱えるフランス・サヴォア地方の工房で制作される〈エス・テー・デュポン〉の“アトリエ・コレクション”の万年筆。純正漆を何度も重ね塗りすることで生まれる独特のツヤや深みが印象的。ゴールドとの組み合わせも風格が漂う!
※社長別注品/エス・テー・デュポン
世界にひとつだけの万年筆!
〈フェンダー〉が生んだ名器“ストラトキャスター”のブラック×イエローのサンバースト加工を、ペンのボディに落としこんだ限定モデル。本来はボールペンだけのラインナップを店頭にも展開中だが、こちらはエドワードの強い希望で万年筆に仕立てた特注品!
“C”が刻まれた封蝋を!
すべてにこだわるエドワードにとって、封蝋(シーリングワックス)も自己表現の一部。重要な書類の封筒には、ライターで蝋を溶かし、ファミリーネームの“C”をかたどったオリジナルスタンプを刻印する。愛用のライターは、左下の万年筆同様、エス・テー・デュポン〉との限定コラボモデル!
ビジネス用のレターセットはエドワード自らがデザインしたこだわりのアイテム。文字の色や大きさ、フォント、加工やレイアウト、紙質にまでこだわった自慢のアイテムだ
FENDER MUSIC[フェンダーミュージック]
誰もが一度は憧れた音楽文化の“象徴”!
“テレキャスター”や“ストラトキャスター”をはじめ、名機と称されるギターやアンプで、一流アーティストだけでなくビギナーからも絶大な支持を集める〈フェンダー〉。同社は〈フェンダー〉の日本法人として、2015年4月から日本国内での取り扱いを行っている。
雑誌『Safari』9月号 P254・255掲載
photo : Mamoru Kawakami text : Takehisa Mashimo