去る4月、東京・銀座で意外なブランドが新作展示会を合同開催した。一方は、スイスの高級時計メゾンの〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉。もう一方はフランス屈指のシューズメゾン〈コルテ〉。果たして両社が歩み寄った理由とは?前者の日本法人CEOを務めるヴァンサン・グジェ(写真右)は、こう語る。
「高い品質基準を設定し、卓越性とエレガンスを追求するなど、双方のメゾンは多くの価値観を共有しています。実は以前パリでも、この2つのブランドは似たようなコラボレーションイベントを開催した実績もあるのです」
ピエール・コルテ(写真左)もヴァンサン・グジェに共感する部分が多いようだ。
「私たちがひとつの靴を作るためには長い時間を要し、そうしたプロセスを経て完成した靴は長く履くことができる。〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉とは、そうしたモノ作りの姿勢においても共通点があると常々感じていました」
実は〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉は、フランス国立芸術工芸協会とパートナーシップを結び、伝統美術工芸の継承に取り組む活動を続けている。対して〈コルテ〉のピエール・コルテは、フランス文化省から人間国宝に認定された卓越した靴職人。こうした背景も両社が繋がる理由になり得たのだろう。
「歴史というものは、"出会い"にあふれているもの。当社の歴史も、3代目のヴァシュロンが、共同経営者のコンスタンタンと出会って発展を遂げました」と語るのはヴァンサン・グジェ。腕時計も靴も着こなしを完成させるアイテム。2つのメゾンの出合いが、今後男性の装いに新たな価値観を添えるかもしれない。
写真=川上 守 文=遠藤 匠
2019-05-31