自分にぴったりな時計を見つけ出すのは案外難しいもの。もし見つかれば、それこそ“運命の出合い”と言っていいだろう。そこで今回は、違いのわかるビジネスマンのために、ウォッチジャーナリストが価値ある新作時計をセレクト。果たして、あなたにぴったりな運命の時計はあるだろうか?
「今年は、新型コロナウイルスの問題ですべての時計フェアが中止になりました。しかし、オンライン展示会や公式サイトで発表された今年の新作は、とても充実しています。その特徴は“歴史に裏付けられた、正統性のあるデザイン”と“価格以上の価値”。買って後悔することがない傑作と呼べる腕時計が揃った年と言えると思います。実物を見れば納得していただけるはずです」
ゴールドケースの時計はいつの時代も贅沢の極み。普遍の価値を宿しているうえ、それなりのビジネスマンを貫禄たっぷりに見せてくれる魅力がある。上質なスーツ姿に合わせると、ビジネスシーンでも一目置かれる存在になるはず。また、しっとりと温かみのあるつけ心地もこの手の時計を選ぶ理由。ブランドとデザインにこだわれば、決して嫌味に見えない価値を手にできる。
10日間以上かけて行われる8つの過酷なテストを経て、スイス連邦計量・認定局が認定する“マスター クロノメーター”。この規格をクリアした、驚異的な精度と耐磁性、耐久性を持つ最先端の機械式ムーブメントを搭載。さらに年に1回しか修正がいらない便利なアニュアルカレンダー機構をプラスした、紳士のためのクラシックな1本。ケース素材にはパラジウムを配合した独自の“セドナゴールド”を採用。長く続く、あざやかで贅沢な輝きも大きな魅力となる。
“パシャ”はモロッコ・マラケシュのパシャ(大公)だったエル・ジャヴィ公が〈カルティエ〉に制作させた防水時計をルーツに、1985年に誕生した腕時計。それ以来、メゾンを代表するスポーツウォッチとなった。そして今年、デザインはそのままに進化した新作として登場。ケース裏からは機械式ムーブメントの姿が楽しめるうえ、“クイックスイッチ”システム搭載で、ストラップ交換がワンタッチで行えるのも魅力。
お洒落上級者の間では高い人気を誇るが、いまや希少となったスクエア型ウォッチ。そこで2019年の発売以来注目されているのが、過去のアーカイブを受け継いで〈ティファニー〉が開発・発売した“ティファニー 1837 メイカーズウォッチ”コレクション。この最新の限定モデルは、〈ティファニー〉製の角型手巻きムーブメントをシースルーバックのケースに搭載。全世界でわずか150本だけ。時計愛好家も納得&感心する、希少でクラシックな逸品だ。
〈ブレゲ〉は、時計史上最高の天才アブラアン-ルイ・ブレゲの魂を受け継ぎ、機械式時計の未来に挑戦を続ける頂点ブランド。この新作は、パリのブレゲ・ミュージアムに展示されている懐中時計の名作、1823年製のクオーター・リピーターの魅力的な顔を継承。3種類のギョーシェ加工を巧みに使い分けた、オフセンターデザインのクラシックで美しい文字盤が最大の特徴となっている。腕につけるだけで、天才ブレゲの世界をいつでも体感できる。ケースはWG。
カルティエ カスタマー サービスセンター | 0120-301-757 |
ブレゲ ブティック銀座 | 03-6254-7211 |
オメガお客様センター | 03-5952-4400 |
ティファニー・アンド・カンパニー・ ジャパン・インク | 0120-488-712 |
時計好きの憧れといえば複雑(コンプリケーション)時計。トゥールビヨンや永久カレンダー、ムーンフェイズ、レトログラードなどなど、複雑機構を搭載した時計はブランドにとっても技術力の高さを誇るもの。当然、最高のものを手に入れたいと願う人には、高い満足度を提供してくれる。もちろん値段もそれなりだが、その裏には高い価値が潜んでいるのは言うまでもない。
〈オーデマ ピゲ〉の中でも未来的な取り組みを見せるのが、2002年からスタートした“ロイヤル オーク コンセプト”。日本限定25本で登場したこの新作は、ムーブメントの上下のブリッジ、リュウズにピンクゴールド素材を使ったオープンワーク仕様のトゥールビヨンモデル。ムーブメントが鑑賞できるように、自動巻きの回転錘がムーブメントの外周部を回る、プラチナ製の美しいペリフェラルローターを搭載している。
スイスのトップマニュファクチュールとして1957年以来、超薄型機械式ムーブメントとその搭載モデルの開発に挑み続ける〈ピアジェ〉。今年の新作は、2018年に開発したプロトタイプの製品版。ケース、ケースバック、地板を一体化させ、歯車、風防などムーブメントとケースを構成する部品を極限まで薄型化。なんとケース厚わずか2㎜を達成! 究極のエレガンスと、つけていることを思わず忘れる軽快感を実現した。時計史に輝く傑作の誕生といえよう。
世界を旅するジェットセッターのために生まれた“オーヴァーシーズ”。その中の永久カレンダーモデルに待望のスケルトンタイプが登場した。カレンダーは2100年3月1日まで調整不要。ワンタッチで交換できるブレスレット、ラバーストラップも標準で付属し、使うシーンに合わせて簡単に付け替えられる。シースルーのケース裏で回転するゴールドの自動巻きローターも、シリーズ初のスケルトン仕様に。
世界のどこにもない突き抜けた機能とデザインを贅沢に追求し、新しい“時の世界”を提示する〈ロジェ・デュブイ〉。純白の新素材ケースを採用したこのスケルトン・ダブル・トゥールビヨンモデルは、最新の蓄光素材を採用。暗い場所ではこの素材が光のエネルギーを放出。文字盤の星形のブリッジやトゥールビヨンを囲むリング、ストラップからグリーンの色があざやかに浮かび上がり、別の顔を見せてくれる。世界限定8本と希少で、持つ喜びも格別。ブティック限定販売。
ポルトガルの顧客の「高精度な腕時計を」という求めに応じて、懐中時計用のムーブメントを使って誕生した逸話を持つ名作“ポルトギーゼ”。今年このコレクションがリニューアル。なかでも注目のひとつが、従来よりひとまわり小さな新型ムーブメントを搭載した、この永久カレンダーモデル。ムーンフェイズを6時位置に統合することで、直径44㎜のモデルと比べてグッとクラシックな印象が増した。
ヴァシュロン・コンスタンタン | 03-4461-8180 |
IWC | 0120-05-1868 |
オーデマ ピゲ ジャパン | 03-6830-0000 |
ピアジェ コンタクトセンター | 0120-73-1874 |
ロジェ・デュブイ | 03-4461-8040 |
フォーマルシーンに似合う薄くて美しいドレスウォッチに対して、日常的で実用性のある時計がスポーツウォッチ。最近ではその垣根も消え、様々なタイプを目にすることが多いが、そんな中、大人の時計選びで大事なことは、信頼に足る実用性を備えながらも、高級感とデザイン性の高さがあること。決して安っぽく見えない時計こそが、大人を品格ある佇まいへと導く。
独自のブリッジ型リュウズプロテクター機構を持つ〈パネライ〉のダイバーズウォッチ“ルミノール”。このモデルが誕生したのは、今から70年前の1950年。その名は1949年に同社が新たに開発した、トリチウムを素材にして特許を取得した新しい夜光塗料“ルミノール”に由来する。この誕生70周年を記念して同社は3種類の“ルミノール マリーナ”の限定モデルを発表した。限定数はいずれも270本。70周年にちなんで、なんと70年の品質保証がつくのも話題。
1980年に現共同社長が、父親の反対を押し切って開発・発売した伝説的なスポーツウォッチ“サンモリッツ”。そのスタイルを、数十年の時を超えて現共同社長の息子が現代的に再解釈。最新スペックの新たなコレクションとして登場した。〈ショパール〉を率いるメゾン、ショイフレファミリー3代の物語から生まれたこの時計。ケースやブレスレットに再生素材を一部使い、強くて美しい特殊なステンレススチールを採用しているのも、このモデルの魅力のひとつ。
2019年に約10年という長い開発期間を経て誕生した〈A.ランゲ&ゾーネ〉初のスポーティウォッチが“オデュッセウス”。耐ショック性を追求し、ケースサイドのボタンで、正逆両方向に簡単調整できるアウトサイズ(ビッグ)デイ&デイト表示を備えた新型ムーブメントを搭載。最新の1本は、魅力的なメカニズムはそのままに、つける喜びと誇りをさらに満足させてくれるホワイトゴールドモデル。スレートグレーの文字盤カラーもシックでエレガント。
ラグジュアリー・スポーツウォッチの未来を追求する〈クストス〉。この最新モデルは「スーパースポーツカーの世界観を腕に」というコンセプトで登場。チタンの中でも最も優れた特性を持つグレード5チタンと贅沢なゴールドをケース素材にあしらい、スケルトン仕様のクロノグラフムーブメントでさらにインパクトのあるビジュアルを実現した。トノウ型ケース特有の美しく優雅なサイドカーブとゴールド素材の輝きが、大人の手元を華麗に彩ってくれる。
2010年、日本のブランドから世界のブランドへと飛躍した〈グランドセイコー〉。今年は誕生60周年。これを記念して開発・発売される新世代モデルのひとつが、こちらのダイバーズ。飛躍的に進化した新型スプリングドライブムーブメントを搭載し、600m飽和潜水対応。さらに温度補正機能を加えて、精度は月差±15秒から±10秒に進化した。パワーリザーブも約72時間から約120時間と飛躍的にアップ。
A.ランゲ&ゾーネ | 03-4461-8080 |
セイコーウオッチお客様相談室 | 0120-061-012 |
オフィチーネ パネライ | 0120-18-7110 |
ショパール ジャパン プレス | 03-5524-8922 |
フランク ミュラー ウォッチランド東京 | 03-3549-1949 |
ストップウォッチ機能が付いたクロノグラフは人気のアイテム。文字盤の中にある小さなダイヤルは積算計。秒・分・時のうち2つを示すものは2カウンター、3つなら3カウンタータイプということになる。そしてそのカウンター位置や数で見た目の印象が違うのがクロノグラフの面白いところ。もちろん精度が求められるこの時計、しっかりとしたブランドの新作を選びたい。
2005年の発売以来、ラグジュアリーなスポーツ・クロノグラフの世界で不動の地位を築いた“ビッグ・バン”。ただ、これまで15年間、唯一ビジネススーツと完璧にコーディネートできるメタルブレスレットモデルがなかった。そんな中、満を持して発表されたのがこの新作。初の統合型ブレスレットモデルが登場した。ラバーストラップとは違う極上のつけ心地とバーインデックスによる落ち着いた顔は、大人のデイリーウォッチとして申し分のない仕上がり。
世界初の自動巻き機械式クロノグラフムーブメントのひとつである"エル・プリメロ"。2019年に誕生50周年を迎えながら、今も〈ゼニス〉を代表する傑作として世界中の時計ファンを魅了する。今年1月にドバイで発表されたこの新作は、最先端モデル"デファイ"のデザインモチーフとされる1969〜71年製造のトノウ型ケースの"A384"を、ケースサイズ、文字盤、ゲイフレアー社製のラダー型ブレスレットまでも忠実に再現した。1970年代テイストが新鮮。
時計王国スイスの名門〈ジャガー・ルクルト〉。今年、1000時間テストをクリアし、絶大な信頼性で知られる丸型ケースの定番コレクション“マスター・コントロール”を完全リニューアル。このクロノグラフは、1950〜’60年代のクラシックなデザイン、ビジネスシーンに役立つフルカレンダー、さらに耐磁性に優れたシリコン脱進機採用の新型ムーブメントを搭載した、時計愛好家絶賛の逸品。今年の新作の中でも、特に話題の1本となっている。
現代機械式クロノグラフの基本機構のひとつ“スイングピニオン”を、1887年に開発した〈タグ・ホイヤー〉。そんな同社の定番クロノグラフのひとつが、“タグ・ホイヤー カレラ”だ。なかでもこちらは、スイス製でクロノメーターの高精度を誇る定番ムーブメント“キャリバー16”を搭載したモデル。文字盤には、光の当たる角度で虹色の輝きが絶妙に変わる天然素材ブラック・マザー・オブ・パール(ブラックMOP)を使用。日本だけの限定500本となっている。
初代“クロノマット”は現代パイロットクロノグラフの理想型として、イタリア空軍アクロバット飛行チームの協力のもと、1983年に開発。その翌年から発売され、イタリアを起点に機械式時計ブームを巻き起こした。この名作が原点回帰をテーマにリニューアル。初代の独特なデザインの“ルーローブレスレット”や、取り外しできる“ライダータブ”付きの回転ベゼルなど、初代のディテールを最新技術で進化させつつ、スペックアップで再現している。
ジャガー・ルクルト | 0120-79-1833 |
ブライトリング・ジャパン | 03-3436-0011 |
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ | 03-5635-7055 |
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス | 03-5677-2091 |
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー | 03-5635-7054 |
文=渋谷康人
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2020-05-29
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2020-05-29
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(c)HINODE PUBLISHING