マリンスポーツを楽しむ休日には、それなりの時計があると気分も高揚する。そんな相棒は武骨すぎるダイバーズウォッチや、喧騒のビーチを思わせる派手なスタイルではなく、落ち着いた大人のテイストに潮風を感じる時計がいい。"ヨットクラブ・クロノグラフ"は、その最良にして最善の選択である。
創業150年以上を誇る〈IWC〉。"ポルトギーゼ"はその中で最長の歴史を持つモデルだが、そのうち最もスポーティなのが"ヨットクラブ・クロノグラフ"だ。1967年に発表された、外洋航海を目的にした"ヨットクラブ"を前身に伝統を受け継ぎ、防水性能やリュウズガード、ラバーストラップといった仕様を備える。
"ポルトギーゼ"本来の洗練されたシックなイメージからすると、荒々しい海の世界に違和感を抱くかもしれない。しかしコレクションの発祥を振り返れば、それが決して縁遠いものではないことが理解できるだろう。もともとマリン・クロノメーターに匹敵する精度を第一義に、そのスペックを備えた大型キャリバーを搭載し、誕生したからである。
それでもこの時計の魅力はヨットクラブが醸し出す格式であり、決してひけらかすことのない品格にある。さりげないスタイルに同軸クロノグラフの高性能を秘め、海という大自然に対峙する男の勇気と意思、そして優しさが漂うのである。
[ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ]
IWC 0120-05-1868 |
写真=正重智生 スタイリング=中川原 寛 文=柴田 充 構成=大嶋慧子
2019-05-31