名作時計は、時によって磨きがかけられ、やがて時を超える存在になる。その証左が“ポルトギーゼ”。1939 年に誕生し、〈IWC〉の現行ラインナップでも最長の歴史を誇る。先進性が根ざす機能美とブルーのあしらいは、現代の男の腕を凛々しく飾ってくれる。
時の針を少し80年ほど戻してみよう。2人のポルトガル人時計商が〈IWC〉の門戸を叩いた。目的は、海軍将校の注文によりマリンクロノメーター級の精度を持つ腕時計の製作を依頼するため。だが当時それだけ高精度な小型ムーブメントはなかった。そこで懐中時計用を流用し、1本の時計を作り上げたのだった。
しかし問題はそのサイズとデザイン。アールデコ全盛期、男性も女性と同じく小ぶりで装飾的な時計をつけたのに対し、大径ケースに高い精度を最大限に生かすため、文字盤は視認性を追求し、シンプルを極めた。だがそんな異端も誇りとし、“ポルトギーゼ”と命名されたのだ。
その矜持は現在も受け継がれ、バウハウスに通じる機能美や先進性は色褪せるどころか、さらに男たちを魅了する。ベゼル幅を抑え、全面に広げた美しいブルーとホワイトの文字盤からは知性が漂い、クロノグラフの躍動感を併せ持つ。そこに宿るのは、いつまでも変わらない男の情熱と品格なのである。
[ポルトギーゼ・クロノグラフ]
IWC 0120-05-1868 |
モンブラン コンタクトセンター 0120-39-4810 |
写真=池田佳史 スタイリング=中川原 寛 文=柴田 充 構成=大嶋慧子
2019-04-25