今、世界のフーディたちが美食のフロンティアとして注目しているのが、南米のコロンビアである。特に、首都のボゴタは伝統的なコロンビア料理店のほか、豊かな食材を背景としたユニークなお店が続々と誕生している。その最旬レストランの現地のレポートをお届けする。
世界中の食のプロや評論家たちが、近年美食都市として熱い視線を送るのが、コロンビアの首都、ボゴタである。なかでもコロンビア生まれの女性シェフ、レオノール・スピノサさんがオーナーシェフを務める〈レオ〉は、コロンビアという国のユニークさを表現するレストランとして、専門家筋からの評価も高かった。その〈レオ〉が今年の"世界ベストレストラン50"のアワードで、コロンビア初のランキング入りを果たしたこともあり、一気に注目されるようになった。そこで私もさっそく現地に飛んで実際に体験してみた。この店ではすべての食材をコロンビア産にこだわり、メニューには食材の生産者や捕獲場所などをアイコンで示す。だから、まるでコロンビア中を旅するような美食の体験をすることができた。
そもそもコロンビアという国は、ブラジルと並び、生物多様性では世界トップランクの国。国土も日本の約3倍を誇り、太平洋やカリブ海を擁する大西洋に面して、アンデス山脈やアマゾン流域も有している。〈レオ〉でも、食べたことも見たこともない食材によるイノベーティブな料理の数々が供され、驚きとともに思わず舌鼓を打つのであった。
美食系レストラン以外に、伝統的な料理店では、チキンやポテトを煮こんだスープ"アヒアコ"や、具材を詰めて揚げ餃子のように仕立てた"エンパナーダ"など、郷土料理の数々もとても美味しい。米も主食のひとつだから、日本人の嗜好とも親和性が高いのがいい。
ボゴタは、近年は治安も安定し、休日ともなれば家族連れで街を散策する人であふれているし、年間を通じて気候も温暖で過ごしやすい。南米方面に訪れるチャンスがあるのなら、是非とも知られざる食の魅力を探索しに、コロンビアを訪れてほしい。きっと未知なる美食の体験があなたを待っているはずだから。
今年の"世界ベストレストラン50"では、見事に49位で初のランクイン。コロンビア初の快挙でもある。この店のコンセプトは、同国の世界屈指の生物多様性を料理で表現すること。アンデス山脈の植物からアマゾン川の淡水魚、肉料理にはカピバラといった珍しい食材まで使われている。
ADDRESS | Calle 27biss 14 6-75Callejón Peatonal,Bogota, Colombia |
PHONE | +57 1-2867091 |
WEBSITE | www.restauranteleo.com |
ボゴタ市内の公園の近くにある、明るい店構えのビストロ。カジュアルな雰囲気でリーズナブルながら、料理の味わいのバランスも秀逸だ。南欧風に見える料理だが、コロンビア各地の伝統的な料理を、現代的にアレンジしていて、知的な満足度も高い。
ADDRESS | Calle 88 13a - 51Lado sur del parque, Bogota, Colombia |
PHONE | +57 1-3001184 |
WEB SITE | canasto.co |
ボゴタで最も有名な観光地である、モンセラーテの丘の上にあるコロンビアの伝統料理店。店内からは、ボゴタ市内が一望できる絶好のロケーション。国内はもちろん、海外からの観光客も詰めかけ、連日満員状態。料理はもちろんだが、カクテルやワインなども楽しめる。
ADDRESS | Carrera 2 este # 21-48, Paseo BolívarEstación funicular Cerro de Monserrate,Bogota, Colombia |
PHONE | +57 1-7454630 |
WEB SITE | www.restaurantecasasantaclara.com/ |
1964年神奈川県葉山生まれ。ファッションからカルチャー、美食などをテーマに新聞や雑誌、テレビで活動中。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。2013年より"世界ベストレストラン50"の日本評議委員長も務める。さらに、グラナパダーノとパルマハムの親善大使に任命されている。
2019-11-29