観光都市として、あるいはアジアのハブとして常に高い人気を誇るタイの首都バンコク。タイ国内の様々な地域のタイ料理が食べられるのもこの街の魅力だが、近年はタイ料理以外の料理を出す美食レストランが次々と登場。世界中のグルメたちからも注目されている。
美味しいものを食べに行くのならどこに行くべきか?
海外のファイン・ダイニングであれば、私はバンコクを真っ先に挙げたい。バンコクは、多彩なタイ料理が屋台から高級料理まで揃う、グルメの街としても知られるが、私がバンコクでオススメしたいのは、タイ料理以外の料理が味わえるレストランである。ご存知のように、バンコクはいろいろな意味でダイバーシティ、文化の多様性を受け入れる包容力のある街であるが、レストランも然り。その筆頭が〈ガガン(Gaggan)〉であろう。〈ガガン〉はインドのコルコタ出身のシェフ、ガガン・アナンドが2010年にオープンさせた、プログレッシブ・インディアン・キュイジーヌの店である。「バンコクでわざわざインド料理?」と思われるだろうが、白を基調にしたモダンな店内で提供される奇想天外の数々は、ここでしか味わえない体験とテイスト、そして楽しさにあふれている。世界中の食の専門家からの評価も高く、アジア圏内を対象にした"アジアベストレストラン50"で、2015年から2018年まで、4年連続で1位を獲得し、圧倒的な人気を誇っている。
意外性という意味で、ドイツ出身の双子のシェフ、ズーリング兄弟が2016年にバンコクで開いた、〈ズーリング(sühring)〉も推したい。私も幾度か訪れているが、変な話、美味しいドイツ料理が食べたければ、ドイツではなくてここに来ることを、強くおすすめする。最後にフランス料理にインスパイアされた、モダンなレストラン、〈ルドゥ(LE DU)〉も加えておこう。ここは、タイ出身の若手シェフのトンが、米国のフレンチの名店などで修業した後にバンコクで立ち上げた、モダンタイ料理店。タイの食材やスパイスを、フランス料理のエスプリで仕立てるのはユニークで面白い。いずれにせよ、これらの店では、今まで体験したことがないテイストや楽しさに出合えるはずだ。内容に比べ価格も国際基準よりかなりリーズナブル。バンコクへ出向いたら、是非試してほしい。
インド・コルコタ出身のシェフ、ガガン・アナンドは、 エルブジなどでも修業経験のある、国際的なシェフ。インドのストリート・フードや家庭料理をベースに、最先端の料理法や独自のアイデアの料理で、世界中の食の専門家たちも唸らせる。今年の"世界ベストレストラン50"でもアジア人最高位の5位にランクイン。
ADDRESS | 68/1 Soi Langsuan Ploenchit Rd.,Lumpini, Bangkok |
PHONE | +66-2-652-1700 |
双子のドイツ人、ズーリング兄弟は欧州の名店で修業を終えて、ここバンコクにモダン・ドイツ料理店を開いた。彼らは家庭料理やドイツの伝統料理をモティーフに、見たこともないドイツ料理を創作する。ドイツやオーストリアのワインとのペアリングも楽しい。
ADDRESS | No.10, Yen Akat Soi 3 Chongnonsi,Yannawa, Bangkok |
PHONE | +66-2-287-1799 |
米国の名店イレブン・マジソン・パークやジャンジョルジュで修業を積んだシェフ、トン。彼がタイの食材で作る料理の数々は、タイ料理とフランス料理のさらなる可能性を見出したくなるような新鮮な驚きにあふれる。それでいて堅苦しくないカジュアルな雰囲気も好印象。
ADDRESS | 399/3 Silom soi7 Silom Bangrak Bangkok |
PHONE | +66-92-919-9969 |
1964年神奈川県葉山生まれ。ファッションからカルチャー、美食などをテーマに新聞や雑誌、テレビで活動中。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。2013年より"世界ベストレストラン50"の日本評議委員長も務める。さらに、グラナパダーノとパルマハムの親善大使に任命されている。
2018-11-30