着心地のよいコートといえば、やはりカシミヤ仕立ての1着にたどり着く。ところが、〈ジョルジオ アルマーニ〉の新作に袖を通してみれば、イメージする以上の快適さとスタイルが存在することに気づかされる。カシミヤのポテンシャルを最大限に引き出したこのコートで、最高峰の称号を与えられている仕立てを体験してみてはどうだろう。
カシミヤが高級素材であることは広く知られていること。ウールよりも繊維が細く、柔らかで保温力に富んでいるのはもちろん、見た目もさりげないツヤ感を放ち、しっとりした感触も特徴。しかし、その〝潜在能力〞をどこまで引き出せるかは、仕立ての良し悪しにかかっている。〈ジョルジオアルマーニ〉が手掛けたこの1着は、間違いなく最高峰に位置づけられるもの。まず、仕立て自体は、真骨頂でもあるアンコンの1枚仕立て。芯地やパッドを極力使わず、裏地も配していないため、グレードの高いカシミヤのとろけるような風合いがダイレクトに伝わってくる。ショール襟風のスタンドカラーでキリッと感がありつつも、よくあるビジネスコートとはまた違った品格と個性を印象づけられる。ダブルブレスト特有の風格も相まって、街を歩く姿も絵になるに違いない。
[カシミヤ コート]
首元だけがスナップボタンになっていて、開くとショール襟、閉じるとスタンドカラーとして着用できるユニークなデザイン。意図的に大きめにデザインされたパッチポケットが、洗練されたシルエットに対する個性的なアクセントに。ウエスト部分にはハンドウォーマーポケットも用意されている。配色は街に映えるダークネイビーで、フロントボタンの位置が全体的に高めにレイアウト。そのため脚長に見せる効果も期待できそうだ。
ジョルジオ アルマーニ ジャパン | 03-6274-7070 | www.giorgioarmani-mtm.jp |
写真=野口貴司 スタイリング=中川原 寛 ヘア&メイク= Hanjee 文=遠藤 匠 構成=大嶋慧子
2019-10-25