財布は、自分が思っている以上に人から見られているアイテム。であれば、いっそのこと自己アピールに使ってしまうのはどうだろう。やり方は簡単。〈クロムハーツ〉のウォレットチェーンを加えるだけでいい。細部にまでこだわりぬかれたディテールが、圧倒的な個性を印象づけてくれる。
財布の紐は、どちらかというと硬いほうがいいかもしれないが、ウォレットチェーンに関してはどうだろう。若い頃に好んで付けていたような存在感あるデザインは、いい年の大人にはなかなか難しいものがある。では、どんなものが理想なのか。〈クロムハーツ〉の新作は、おそらくストライクゾーンのど真ん中に違いない。
まず、デザインが男心をくすぐる。クロムハーツを象徴するアイテムであるウォレットチェーンはボールタイプやチェーンタイプが定番だが、新作は1920年~30年代のアメリカで窓を開閉するための引き手に使われていたチェーンがデザインソースになっている。もちろん製法も細部にまでこだわりぬき、卓越したディテールがシルバーパーツのひとつひとつに施されている。ヒストリカルなプロダクトデザインがモチーフなだけあって、財布に付けたときのリッチさは圧巻。財布を取り出す所作はもとより、ポケットに入れているときの佇まいさえもドラマチックに映る。こうした脇役的アイテムにこだわりを盛りこむことで、また新しい楽しさを発見できるのだから、いくつになってもお洒落はやめられない。
デザインソースは古きよきアメリカのプロダクトだが、さりげない〈クロムハーツ〉らしさも感じられる仕上がりは極めてラグジュアリー。ベルトループなどに取り付けるためのクリップ部分には、クロスボールモチーフが施されている。財布に限らず、写真のようなカードケースに付けてもスマート。
クロムハーツ トーキョー 03-5766-1081 |
写真=大嶽恵一 スタイリング=中川原 寛 文=遠藤 匠 構成=大嶋慧子
2018-04-27