スーツに袖を通した瞬間、気持ちが引き締まるあの感覚は、どんなに年を重ねても変わらない。おそらくそれは、スーツが男を一番輝かせてくれる服だからだろう。であればビジネスに限らず、休日のお洒落でも着ない手はない。上質で春らしいグレースーツなら、輝きはもっと増すはずだ。
見るからに仕立てのよさそうなスーツ。それなのに、ポロシャツで力を抜いた着こなしにもよく馴染む。その秘密は、〈ジョルジオ アルマーニ〉が得意とするライトウェイトな仕立てにある。芯地を省き、肩パッドを薄く仕上げているので、気負いなく着られるのがいい。それでいて、肩がストンと落ちるストレートショルダーとスリムなボディは極めて都会的。シルク混ウールというリッチな生地のおかげもあって、無地であることがウソのように華やかだ。
ジャケットもコンパクトなシルエットだが、パンツも裾幅19cmと細身。ラペルのゴージラインが高いので、ノータイで着ても首まわりがキリッとして見える。カジュアル色の強いポロシャツも、色みをスーツと合わせれば馴染みやすい。
スーツ34万円、ポロシャツ6万7000円、ベルト4万3000円、シューズ12万円(以上ジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン)、その他はスタイリスト私物
ジョルジオ アルマーニ ジャパン 03-6274-7070 |
キリッとした線を描くコンケーブショルダーに加え、胸まわりをたくましく見せる仕立ては、まさしく英国スーツのお家芸。〈ダンヒル〉が仕立てたこの1着には、そんなブリティッシュスタイルの伝統が息づいている。実際、袖を通してみると背筋が自然と伸び、自信に満ちた佇まいになることに驚かされる。それは直線的に絞られたウエストによって逆三角形シルエットが生まれ、高めのアームホールで姿勢が少し補正されるから。ここぞという日の1着にどうだろう。
ワイドなラペルや、ウエストを少し高い位置でシェイプさせたシルエットが、男らしくてシャープな佇まいに。生地自体も英国テイストあふれるグレンチェックだが、グレートーンで柄の主張を抑えている。
スーツ34万円、シャツ3万1000円、ネクタイ2万9000円、チーフ1万2000円、手に持ったトレンチコート26万円、オーガナイザー11万9000円(以上ダンヒル)、メガネ8万3000円(ダンヒル/デリーゴジャパン)
ダンヒル 03-4335-1755 |
デリーゴジャパン 03-6661-9266 |
「まるで第二の皮膚のように、心地よくフィットする」。〈ブリオーニ〉が、自社スーツの魅力をそう語る理由はどこにあるのか? それは、ジャケットの袖を通した瞬間に理解できるはず。特筆すべきは、仕立てにおいて手作業の割合が多いこと。手縫いを多用すれば、着心地自体が優しくなるだけでなく、カラダの微妙な曲線に沿ったシルエットを描くことも可能となる。凛々しいのにどこかリラックスして見える佇まいの秘密は、ここにある。
この“ラヴェッロ”というモデルは、肩まわりに自然な動きを生み出せるように、人間工学に基づいてショルダーを仕立てたことが特徴のひとつ。しなやかなスーパー150’sの生地を最大限に生かし、裏地のない仕立てで軽やかな着用感も実現。貫禄と軽快さを両立させている。
スーツ64万6000円、ニットポロ参考商品、ベルト5万5000円(以上ブリオーニ/ブリオーニ ジャパン)、その他はスタイリスト私物
ブリオーニ ジャパン 03-6264-6422 |
肩や胸をグラマラスに隆起させながら、引き締まったシルエットを描いたこの“ポン・ヌフ”フィットのスーツ。フロン トを開けて着てもきれいにロールするピークドラペルはさすがの出来栄え。どこか威風堂々とした佇まいを演出してくれる。フォーマル色が和らぐ無彩色のグレーなら、旅をともにする1着としても活躍してくれそうだ。細身であることを感じることなく快適に動けるのも、〈ルイ・ヴィトン〉のテーラーリング技術のなせるワザ。
肩まわりにほどよい構築感があるので、ノータイでラフに着ても上品。裾に向かって美しくシェイプしたパンツは、少し短めの丈にするとスニーカーとの相性も良好に。
スーツ46万2000円、シャツ13万円、ベルト6万円、アリゲーター ストラップの腕時計62万1000円、スニーカー9万7000円、キャリーバッグ大40万6000円、キャリーバッグ小〈オーダー価格〉39万9000円、ボストンバッグ18万7000円、机の上に置いたサングラス4万5000円、ガイドブック各3400円(以上ルイ・ヴィトン/ルイ・ヴィトン クライアントサービス)、その他はスタイリスト私物
ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854 |
写真=野口貴司 スタイリング=中川原 寛 ヘア& メイク=松本 恵 文=遠藤 匠 構成=大嶋慧子
2018-03-13