アルコールが織りなす美しきケミストリー、カクテル。歴史あるホテルには、思わず誰かに話したくなるような逸話のある、オリジナルカクテルと出合えることがある。今宵の1杯は、そのストーリーに思いを馳せながら。
[レッドスナッパー]
あざやかにもセクシーにも映る"赤"
トマトジュース、ウォッカに塩・胡椒・レモン・ウスターソースなどを調合した、スパイシーな"レッドスナッパー"
世界中に点在する〈セントレジス〉。ここには、ホテルごとに、地元のフレーバーを取り入れたオリジナルカクテルのレシピがある。そのはじまりが、ミッドタウンで最も格式の高い〈セントレジス・ニューヨーク〉の社交クラブとして愛される"キングコールバー"。当時、"ブラッディマリー"を考案したのは、バーテンダーとして腕を振るっていたフェルナンド・プティオ。"ブラッディマリー"の"ブラッディ"という響きがセントレジスの洗練されたイメージに合わないというオーナーの要望で、名称を"レッドスナッパー"に変えて、味もニューヨーカー向けに改良をし、完成させたのだ。苦みや甘み、ほどよい酸味が好バランスで、とろけるような口当たりは、女性にも飲みやすいはず。まさに発祥の地のバーで飲むべき1杯。
A:バーの壁にはマックスフィールド・パリッシュ作の壁画"オールドキングコール"が飾られ、優雅なひとときをくれる B:各スイートにはブランドや創業者の名前が付けられている。ちなみにコチラは"ティファニー"
ADDRESS | 2 East 55th Street, at Fifth Avenue New York,New York 10022, USA |
PHONE | +1-212-753-4500 |
WEB-SITE | www.marriott.co.jp/hotels/travel/nycxr-the-st-regis-new-york/ |
[シンガポールスリング]
女性にもお酒を。
バーテンダーの機転から誕生。
バーテンダーのニャン・トン・ブーンが女性のために生み出した、ピンク色の可憐なカクテル
20世紀初頭、女性の公の場での飲酒は認められていなかった。そこで〈ラッフルズシンガポール〉のバーテンダーが思いついたのが、一見フルーツジュースのようなコレ。ジンをメインに、パイナップルやライムジュースを使い、爽やかだけれど甘いフレーバー。そしてグレナディンとチェリーシロップで、フェミニンなピンク色にした。これなら女性が飲んでいても、お酒には見えない。また、このバーの名物は無料で供されるピーナッツ。ポイ捨て厳禁のこの国で、殻を床に捨ててもお咎めなし。
A:店内は、20世紀初頭、農園主たちが集まった"ロングバー"の雰囲気を再現 B:サマセット・モームなど文豪や著名人に愛されたホテルで、こちらはスイートのベッドルーム
ADDRESS | 1 Beach Road 189673Singapore, Singapore |
PHONE | +65-6337-1886 |
WEB-SITE | www.raffl es.jp/singapore/ |
[ロイヤル マイタイ]
オーシャンフロントの立地が
ぴったりな"1杯の楽園"。
1959年"マイタイ バー"オープン時からある"ロイヤル マイタイ"。アレンジメニューも充実
ワイキキビーチとダイヤモンドヘッド。そんな最強タッグなオーシャンフロントのロケーションが、トロピカルなテイストにマッチ。カリフォルニアのバー"トレーダーヴィックス"で生まれたマイタイを一躍有名にしたのが、〈ロイヤルハワイアン ホテル〉の"マイタイ バー"だ。1953年、マイタイの考案者にホテルのオリジナルレシピをオーダー。そして、パイナップルやオレンジジュース、マウイ島の蒸留所のラム酒を使った"ロイヤル マイタイ"が誕生。"マイタイ"はタヒチ語で"グッド!"の意味。
A:"ピンクパレス"の愛称で呼ばれる老舗名門ホテルの部屋から見る景色は、ハワイでもトップクラス B:"一杯の楽園"と呼ばれる"マイタイ"は海辺が似合うルックスで彼女もうっとり
ADDRESS | 2259 Kalakaua Avenue, Honolulu,Hawaii 96815, USA |
PHONE | +1-808-923-7311 |
WEB-SITE | www.marriott.co.jp/hotels/travel/hnllc-the-royal-hawaiian-aluxury-collection-resort-waikiki/ |
文=古関千恵子
2019-11-29