有村 昆が断言!
アカデミー賞を制覇するのはアノ作品しかない!
日本時間25日(月)に発表される映画の祭典アカデミー賞。そこで映画コメンテイター有村 昆さんが、クライマックスとなる作品賞をズバリ大予想! ノミネートされているのは、『アリー/スター誕生』『ボヘミアン・ラプソディ』『ブラックパンサー』『ブラック・クランズマン』『グリーンブック』『女王陛下のお気に入り』『ROMA/ローマ』『バイス』。さて、どの作品を選んだのか!?
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今年のアカデミー賞、当初は『ボヘミアン・ラプソディ』が作品賞を獲得すると予想していました。けれども、監督のブライアン・シンガーが13歳の男の子にセクハラしたという騒動がいくつも明るみに出てきましたよね。保守的なアカデミー会員のことを考えると受賞は難しいだろうなぁと思います。
そうなると、同じ音楽を題材にした『アリー/スター誕生』が獲得する可能性も出てきます。でも、僕は受賞はしないのではないかと思っています。ブラッドリー・クーパーが初監督で素晴らしい仕事をしましたが、結果的には監督賞にノミネートされませんでしたよね。それを考えると難しいと思うんです。
『女王陛下のお気に入り』は、作品賞に近い作品ですね。これは18世紀に実在したイングランドのアン女王と、その寵愛をめぐる女中たちの物語です。エマ・ストーンとレイチェル・ワイズが、お互いを蹴落とし合うんですね。この作品の面白いところは、LGBTというモチーフを、ドロドロのメロドラマに落としこんだところ。そこが非常に面白かったです。
その対抗馬と思っているのが『グリーンブック』です。ドナルド・シャリーという黒人ピアニストと、トニー・リップという白人の用心棒が旅をした実話の物語です。人種差別がテーマとなっていて、まったく正反対の人間がお互いを補っていく友情ものなんです。2人が一緒に旅をするのは、黒人差別が激しかった1960年代のアメリカ南部。激しい差別を受けながらも、2人はだんだんと打ち解けていく。その様がなんとも観ていて気持ちがいいんです。「なんて素敵で、気持ちのいい時間なのだろう」、と思える作品なんですよ。テーマは人種差別ですが、皮肉をこめながらもユーモラスに描いていてバランスも絶妙です。
ここまでいろいろと語りましたが、作品賞をズバリ獲るのは『ROMA/ローマ』だと予想します! この作品は、『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督が1970年代のメキシコを舞台に、とある一家の激動の1年を描いたヒューマンドラマです。とにかく圧倒的な存在感を感じました! この作品により、メキシコとの国境沿いに壁を作るトランプ大統領に対して、反トランプの風が吹くのでは!? と思わせるほどの力強さがありましたね。映像配信サービスの〈ネットフリックス〉が製作したというのも、新時代を予感させていいですよね。
ただ、正直、『グリーンブック』という線も捨てきれず、悩ましいところではあります……(苦笑)。
『ROMA/ローマ』
ちなみに監督賞は、同じく『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロンを予想します。『ブラック・クランズマン』のスパイク・リーとの一騎打ちになるでしょうが、キュアロンの映画に対する愛が溢れているのでこちらに軍配をあげたいですね。
主演男優賞は、『バイス』のクリスチャン・ベイルが獲得すると思います。デ・ニーロ アプローチで体重を20kgも増やして、チェイニー副大統領を演じた、その変貌ぶりには舌を巻きましたよ。体重を増減させて役に挑むのは今回で最後だと明言しているので、花を持たせてやりたいですね。
主演女優賞は、『天才作家の妻』のグレン・クローズを本命に推します。メリル・ストリープの陰に隠れて受賞を逃してきましたが、今回はライバルのメリル・ストリープがノミネートされていないので、7度めの正直として栄冠に輝くと思います。作品でも“夫の陰に隠れていた妻”という役どころ。なんだか縁を感じませんか!?
<プロフィール>
有村昆:Kon Arimura
1976年マレーシア生まれ。年間約500本の映画を鑑賞し、最新作からB級映画まで幅広い見識がある映画コメンテーター。妻は、元キャスターの丸岡いずみ。
有村 昆も驚いた アカデミー賞裏話!
photo by AFLO